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心のデトックス読書のススメ/新年にぴったり!大事な何かを思い出させてくれる『営繕かるかや怪異譚』

January 5, 2015
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みなさま、あけましておめでとうございます。橘です。
年末に宮崎県は高千穂町のご来光でこんにちは。
神話の町を見下ろす国見ケ丘で撮影したので、
きっと見るだけでご利益あると思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

初日の出

さてさて、新年一発目のご紹介本。
満を持して(?)読んだ、ジェーン・スーさんの
『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』にしようかと思ったのですが、
年末の締めくくりにはよいかもしれんが、
新年早々にもってくるにはちとパンチが効きすぎているかも、
ということで今回は年始にぴったりな
不思議でおそろしく、静かに心を揺り動かされる
『営繕かるかや怪異譚』をご紹介したいと思います。
(ジェーン・スーさんはたぶん来月! たぶんね!)

みなさん、幽霊やおばけは信じますか?
私は記憶にはないのですが、小さい頃(幼稚園入る前?)に突然、
「首のないおじいちゃんがいる」と
子供部屋に入りたがらなくなったことがあるそうです。

4年くらい前に某所のペンションに泊まったときは、
廊下に男の人の姿を見たような気がしました。一瞬で消えましたが。
その夜、連れはベッドに近づいてくる足音を聞いたそうです。
わあ、こわい。

こういう「ん?見間違い?」とか「偶然でしょ」みたいなことも、
立て続いたりするとそこに何か意味があるような気がしてしまうので、
こうして怪談というのはつくられていくのだなあ、なんて
そのときは思ったりもしたのですが、
まあ、本当はどうだったかなんて誰にもわかりませんよね。
証明できないですもん。

まあ、世の中の怪談の大半は思い込みや勘違いだと思うのですが、
でも中には、理屈ではまるで説明のつかない本当に起きたなにか、
みたいなこともあるんではないかと思います。
そうした日常に潜む、「家」にまつわる不可思議なお話を語るのが本書。

その“黒い女”が訪れると、その家の誰かが必ず死ぬ。
そして彼女は、雨が降るたび少しずつ「私」の家に近づいてきている……。

実家にも厭われ、いわくつきの家におしこめられたシングルマザーの「私」。
唐突に落ちるガレージのシャッター。
誰かに呼ばれたとその危険なシャッターの下に彷徨い出る愛娘。
ガレージから囁き聴こえる子供の声……。

勘違いかも。気にしすぎだろう。だってそんなことあるはずない。

ひたひたと迫りくる恐怖に蓋をする住人達に、
容赦なく襲いかかる怪異の嵐と死への恐怖。
それを鎮めてくれるのが、一人の営繕屋。
いわくを無理やり抹消するのではなく、営繕し、
正しい場所へ正しい形に戻すことで、怪異は身を潜めてくれるのです。

あ、もちろんフィクションですよ。
でももしかしたら隣の家で起きている現実かもしれない、
そんなふうに思わされる切実な恐怖が行間から溢れています。

ただ、ね。
目に見えない何かや、霊と呼ばれる類のものはたしかにこわい。
でも“彼ら”に悪意はなく、ただそこに存在しているだけ。
突如現れ“彼ら”を阻害しているのはむしろ住人のほうかもしれません。
たとえば家の近くにある小さな神社や祠。
昔から家で祀られているもの。
お仏壇や神棚。
そんなものをあたりまえに大事にしていれば、何も起こらない。
だけど「まあいっか。大丈夫でしょ」と、勝手な理屈で手を加えると牙をむく。

それは怪異というよりも、
目に見えるものばかりに気をとられ、
「何か」を忘れてしまった私たちへの警告かも。
その「何か」と折り合いをつけて共存していくことを、決して忘れてはいけない……。

畏怖を感じさせられる一方で、
古いもの、昔から伝えられているもの、
そんなものへの愛おしさもこみあげてくる物語集なのです。

静かで厳かな気持ちで、信念を迎えるにふさわしい一冊だと思うので、
ぜひぜひ読んでみてください。
そういうことはおいといて、ただ不思議な話が好き、という人もぜひ。

 

『営繕かるかや怪異譚』

『営繕かるたや怪異譚』小野不由美
KADOKAWA 角川書店 1500円(税抜)

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美伝子Labライター

フリーライター作家橘 もも
講談社X文庫ティーンズハート大賞<佳作>受賞して作家デビュー。

大学卒業後、ダ・ヴィンチ編集部にて雑誌&書籍の編集者として勤務しつつ、作家業を続ける。現在は、フリーでライター・編集業(立花もも)、作家業(橘もも)の二足のわらじ。小説のほかにも、映画やゲームのノベライズ、絵本やノベライズの翻訳などを手掛ける

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