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心のデトックス読書のススメ/水木しげる先生の教えてくれた幸せの秘訣『水木サンの幸福論』

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「おばけ」や「妖怪」を思い浮かべるとき、
その造形は無意識のうちに「水木しげる先生の描いたもの」になります。
一反木綿も、子泣き爺も、砂かけ婆も、ぬりかべも。
私が想像するのは全部、『ゲゲゲの鬼太郎』に出てきた妖怪たち。
そういう人はきっと、私以外にもたくさんたくさんいるでしょう。
 
そんな、私たちに「妖怪DNA」を授けてくれた水木先生が、
御年93歳でご逝去されました。
今回は、そんな水木先生のご著書『水木サンの幸福論』を
哀悼の意も込めてご紹介したいと思います。
 

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私は、特別に水木しげる先生の大ファン!というわけではありません。
小さいころに、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』が大好きで、
紐を引っ張ると「鬼太郎! こうしちゃおれん! 出かけるんじゃ!」と
叫ぶ目玉おやじのおもちゃがお気に入りで四六時中いじくっていたという程度。
大人になるまで、マンガ版の鬼太郎を読んだことさえありませんでした。
 
ところが社会人になってはじめて働きはじめた編集部では、
年に2回、怪談専門誌を刊行していて、
仕事を通じて私は、妖怪や怪談というものに少しだけ触れることになりました。
 
有名なのは小説家の京極夏彦さんですが、
その仕事を通じて出会ったさまざま職種の、さまざまな尊敬する方々が、
みなさん、心の中に水木しげる先生への深い敬愛を宿していて、
無知だった私はその事実に驚き、圧倒されたものです。
 
まだ、朝ドラでその生涯が語られるよりも前のこと。
それほどまでに皆さんが心酔する、水木しげる先生ってどんな方なんだろう。
そう思っていた頃、最初に手にしたのがこの本でした。
お手伝いしていた夏の怪談イベントで、物販として売られていたのを、
「セットで買うと水木さんのサイン色紙がついてくるよ」という謳い文句と
売り子だった京極夏彦さんの迫力におされて
ついつい2万円もはたいて買ってしまったうちの一冊です。
衝動買いするにはなかなか大きな買い物でしたが、
あのとき買って、出会えてよかったと今では心から思っています。
 
ご自身の編み出した「幸福の七カ条」を掲げ、
幸福論と銘打ち書かれているのは、最初の?ページ程度。
ほとんどはご自身の半生を綴ったエッセイですが、
水木先生がなぜ、その七カ条を大事にされているのか、
どんな気持ちでそれを書かれたのかが、
そのエッセイを読むと少しわかってくるような気がします。
 
七カ条については、おそらくさんざんワイドショーなどでも流れているでしょうし、
そこだけをここに書いたところであんまり意味もない気がするので、
まあ、読んでみてくださいとしか言いませんが、
かわりに、個人的にとくに印象に残った部分を引用しておきます。
 
〈二ヵ月くらいすると、切り落とした左腕の傷口から、
おっぱいのような「赤ん坊のにおい」がしてきた。再生のにおいだと思った。〉
 
久しぶりに読み返した私の目に留まったのは、なぜかこの一文でした。
 
水木先生の訃報を知って、
「ついにあの世へ取材旅行に行かれたのだ」とか、
「この世は通過するだけのものだから」と先生のマンガを引用したりとか、
いろんな方々が、感謝とさみしさの入り混じった笑い泣きのようなコメントをしていました。
たぶん、まだ言葉を見つけられない方もたくさんいるでしょう。
 
そんな方々をさしおいて、
訃報についてあれこれいえるほど私は先生にも作品にも詳しくはありません。
 
でも、これだけ多くの方々に愛され、幸せをくれた水木先生に、
少しでも興味を持った方がいればぜひこの本を読んでみてほしいなあと、
今月はご紹介させていただきました。
いや、べつにこの本じゃなくてもいいんですけどね。
マンガもエッセイも妖怪辞典もたくさんたくさん出ていますから。
 
エッセイの最後はこんなふうに締めくくられています。
 
〈心配のタネがひとつだけある。「水木サンのルール」が果たしてあの世で通用するのかどうか。これだけは死んでみないとわからない。
 ではまた、あの世で。
 いずれお会いできる日を楽しみにしている。〉
 
水木しげる先生のご冥福——もとい、
あの世でのさらなるご活躍を心よりお祈り申し上げます。
 

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『水木サンの幸福論』 水木しげる
角川文庫 590円(税別)

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美伝子Labライター

フリーライター作家橘 もも
講談社X文庫ティーンズハート大賞<佳作>受賞して作家デビュー。

大学卒業後、ダ・ヴィンチ編集部にて雑誌&書籍の編集者として勤務しつつ、作家業を続ける。現在は、フリーでライター・編集業(立花もも)、作家業(橘もも)の二足のわらじ。小説のほかにも、映画やゲームのノベライズ、絵本やノベライズの翻訳などを手掛ける

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