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心のデトックス読書のススメ/なりたい自分になれていますか? 働くオトナ女子に贈る『校閲ガール』

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ステップ1やさしくすばやくメイクを落とす

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ステップ2保湿しながら洗顔する

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ステップ3オールインワンを極めました

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あけましておめでとうございます。橘です。
 
みなさん、今年の抱負は決めましたか?
わたしは一応、年始には、前年のふりかえりと新年の目標を書くのですが、
まあ、たいがい言ってることは似たり寄ったりですよね。
がんばろうとか、驕らないようにしようとか、
いつも笑顔でいようとか、感謝していこうとか。
わざわざ書くってことは、ふだん実践するのを忘れがちってことで、
世間にそういうハッピーだの笑顔だのキラキラした言葉がふりまかれているのも、
みんなが煩悩と欲望にまみれてジタバタしながら生きてる証なんだと思うのです。
 

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そんな、煩悩と欲望に毒舌と無鉄砲さを付け加えた主人公の
 
小説『校閲ガール』(宮木あや子)が今月のご紹介本。
 
なりたい自分となれる自分が違う、って気づいたのはいつですか?
私は「自分以外のなにかになりたい」と切望していた10代のころ、
「自分以外の何者にもなれないんだ……」とか絶望した中二病期が
それにあたるような気がするのですが
(本名ではなくペンネームで仕事しているのはその名残かもしれない)
やりたいことと自分にむいていることは違うし、
好きこそものの上手なれと人は言うけどどんなに好きでも下手なものは下手だし
世の中には才能とかセンスとか美貌とか
生まれた時点で決定づけられている「何か」っていうのがあるもので、
努力ではいかんともしがたい現実が横たわっているのが人生というもの。
 
とかいう話をすると「あんたは好きな仕事やれてんじゃん、恵まれてんじゃん!」
って言われたりもするのですが、
もちろんそれは否定しないものの、私の中で思い描いていた理想の現実と、
いま私が立ち向かっている現実というのは似て非なるものでして、
三十年ちょい生きてきてようやく、折り合いがつけられてきたかなというところ。
そんなふうに、どんなに望み通りの人生を送っているように見えてる人でも、
ひとつは「もっと○○だったらなあ」という挫折を味わってるものじゃないでしょうか。
 
『校閲ガール』に出てくるのは、基本、そんな人たちばかりです。
主人公の河野悦子(こうの・えつこ)さんは、
ファッション誌の編集者になるためだけに努力に努力を重ね、
衣食住の衣以外にかけるお金は最大限に減らし、
もはやファッションのスペシャリストと言っても過言ではないはずなのに、
憧れの出版社で配属されたのは「校閲」、
雑誌や書籍の文章チェック、事実確認などをするという地味〜〜な職場。
しかも名前がそれっぽいからという、ただそれだけの理由で。
 
理不尽! なんとも不条理!
 
ところが彼女の、驚異的な暗記力・知識収集力(ただし好きなことに限る)は
校閲者としては最強の武器。
憤懣やるかたなしの彼女ですが、
校閲の仕事を通じて「働く」ということ、
そして「好き」だけではいかんともしがたい現実を知っていくのです。
 
世の中にはさぁ……好きすぎて仕事にするには不適格、ってこともあるからね……。
思い入れがないからこそ客観的な目で仕事ができて、
しかも成果が残せるのだということも。
 
口が悪くて、猪突猛進で、しかもめちゃくちゃ不遜な態度で、
正直言って新入社員でコレが入ってきたらマジ引くわ、
ってくらい生意気に生意気を重ねたような悦子ですが、
なんだか憎めなくて、どこか応援する気持ちになってしまうのは、
たぶん彼女のがむしゃらな姿がどこか自分に重なるから。
ああ、自分もそんなふうに視野狭窄なりに一本気だったわ、とか、
こんなふうに頑張っておけばよかったかもな、とか、
懐かしさや恥ずかしさや羨ましさがこんがらがった気持ちで、
それでもファッション誌で働く夢を諦めない彼女に
「そのままいつまでも突っ走っておくれよ」と祈るような気持ちになる。
 
最短距離で夢をかなえられる人もいれば、
遠回りの果てにようやく夢にたどりつける人もいるのだから、と。
 
発売されたばかりの2作目『校閲ガール ア・ラ・モード』は
立場は違えど、それぞれの屈折や挫折を抱えながら生きる、
悦子周辺の人々のお話をそろえた短編集で、
個人的にはこちらのほうが、より楽しめた気がします。
主人公になれなかった人たちが、
それぞれの人生でタイマン張ってる(古い……)姿は、
どれも読んでいてじんとくる。
ていうか、もう、まっすぐな捻くれ者どもに、つい泣かされてしまいます。
 
さらっと読めて、笑えて、きゅんとして(書いてないけどラブもあるよ!)、
しかもけっこうじんわりできて、明日からがんばろうと思える。
新年読み初めにはぴったりの1冊ではないかと思います。
 

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『校閲ガール』
『校閲ガール ア・ラ・モード』
宮木あや子 KADOKAWA 1200円、1300円(税別)
 
 
★拙著、新刊が1月14日発売されます
『それが神サマ!? 三の巻「悪霊っ?」』
橘もも 講談社青い鳥文庫 620円(税別)
※1〜2巻も発売中です。一応、どこから読んでも楽しめます。
 
★既刊
『忍者だけど、OLやってます』
橘もも KADOKAWA MF文庫ダ・ヴィンチmew 600円(税別)

About The Author

フリーライター作家橘 もも
講談社X文庫ティーンズハート大賞<佳作>受賞して作家デビュー。

大学卒業後、ダ・ヴィンチ編集部にて雑誌&書籍の編集者として勤務しつつ、作家業を続ける。現在は、フリーでライター・編集業(立花もも)、作家業(橘もも)の二足のわらじ。小説のほかにも、映画やゲームのノベライズ、絵本やノベライズの翻訳などを手掛ける