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大人のための美しい学びを知る『百人一首ノート』

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ステップ1やさしくすばやくメイクを落とす

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ステップ2保湿しながら洗顔する

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ステップ3オールインワンを極めました

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突然ですがみなさん、学生時代に『百人一首』って覚えました?
私の通っていた中学では、百人一首大会というくっそめんど……
ごほごほ、もとい入学早々に大変頭を悩まされる行事がありまして、
百人一首すべて覚えて試験まで受けさせられるという試練までありました。
 
思えば、世界地図も暗記させられたし(いきなり追試くらった)
鴨長明の『方丈記』冒頭も覚えさせられたし
暗記科目が大嫌いな私にはもうそれだけで
その科目が嫌いになりそうな授業がてんこもりだったのですが、
そんなふうに「実はおもしろいのに導入でつまずいて大嫌いになった」人、
けっこう多いんじゃないでしょうか。
だからこそ「大人のための日本史」とか「本当は面白い美術」みたいなのが
どんなときも一定数はやるんだと思うんですよね。
 
というわけで今回ご紹介するのは今日マチ子さんの『百人一首ノート』。
枕詞ってなんだよ! 掛詞なんて知るかよ!
と憤った経験のある方にこそおすすめの、とにかく美しい絵物語集です。
 

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今日マチ子さんといえば、三井住友銀行のCMイラストが、
今はもしかしたら一番目に触れやすいかもしれませんね。
繊細なタッチのイラストで、画集のようなマンガ描く新進気鋭の作家さんです。
 
実はこの『百人一首ノート』、もともとの企画発案は私だったりしまして。
といっても、だから紹介するわけではありませんよ!
そもそもの発案のきっかけが、
「百人一首ってきっと、本当の意味を知れば魅入られるだろうに、
勉強していたときの苦手感が邪魔をしてなかなか手を出せない。
その背景にある物語を今日さんに描いてもらえたら、
きっと素敵な物語になるに違いない!」という個人的願望だったのです。
 
そしてそんなふうに
「百人一首ってちゃんと知りたいけど、難しそうだし今更どう学んでいいかわからない」
っていう人は日本中にたくさんいるんじゃないかと。
 
それがもう5年以上前の話。
発案するだけして私は会社をやめてしまったのですが
(ようするに言いっぱなしの無責任)
そのあと同僚や先輩方が尽力してくださったおかげで、
こうして形になったものをなんの苦労もせず読者として楽しめるという、
申し訳ないやらありがたいやらよくわからない感慨にふけっております。
 
でももうほんと、想像以上にすばらしい出来で……!
 
百人一首で人気の本といえば、
『うた恋い。』という平安マンガがありまして、
こちらは平安時代を舞台に、百人一首に選ばれた和歌の歌人たちが、
どのように生きて、どのようなシチュエーションで和歌を詠んだのかを、
ドラマティックに雅に描いた作品なのですが(これもすごくおすすめ!)、
今回の『百人一首ノート』はそんな歴史背景だとかはすっとばして、
ただただ、和歌から受けた今日さんのインスピレーションをもとに、
1枚絵のマンガで表現しているのです。
 
個人的に衝撃を受けたのは、
「陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに
 乱れそめにし われならなくに」
という和歌。
 
陸奥……つまりは東北地方の太平洋側にあたる地域。
その場所を思うとき、日本人なら真っ先に連想するものがあるでしょう。
実際は“忍ぶ恋”を綴ったとされているこの和歌を、
こんな形で“乱れ忍ぶ想い”に昇華させるのかと。
 
ほかにも「そう解釈するのか……!」という驚きに満ちた百首が詰まっています。
しかもオールカラー! なんて豪華!!
せりふがひとつもなく、短く表現されているからこそ、
余韻が漂い想像力をふくらませられるのもいい。
この人たちはこのあとどうするのかしら、とか、
もしかしたらこの話とこの話はつながっているのかな、とか、
ああ、和歌ってなんて自由なんだろう、と心が打たれました。
 
もうね、ぜひね、学生さんたちへの教材にしてほしい。
こんなふうに、枠に縛られず自分の感性で自由に物事をとらえていいんだよ、
ということを知ってほしいし、
自分たちなりの解釈をぜひ絵や小説やポエムなどで表現してみてほしいです。
 
そしてそれに気づき、ためしてみるのに、
大人の私たちもけっして遅くはないのだと思います。
 
どうぞ大人から子供まで、ぞんぶんに堪能してみてください。
色鮮やかな画集としても楽しめるので、春におすすめの一冊です。
 

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『百人一首ノート』
今日マチ子 KADOKAWA 1300円(税別)
 
★拙著発売中です! 『忍者だけど、OLやってます オフィス忍者合戦の巻』

About The Author

フリーライター作家橘 もも
講談社X文庫ティーンズハート大賞<佳作>受賞して作家デビュー。

大学卒業後、ダ・ヴィンチ編集部にて雑誌&書籍の編集者として勤務しつつ、作家業を続ける。現在は、フリーでライター・編集業(立花もも)、作家業(橘もも)の二足のわらじ。小説のほかにも、映画やゲームのノベライズ、絵本やノベライズの翻訳などを手掛ける