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心のデトックス読書のススメ/ 現実の恋を成就させてくれるかもしれない小説『嵐が丘』

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こんにちは。
堀北真希さんの結婚ニュースに、なぜだか失恋気分の橘です。
もうねー、あまりに衝撃すぎて、
一週間くらい毎日関連ニュースを検索してましたよ。
最終的には、
「舞台で悲恋を演じた二人がリアルで結ばれたんだ…」
と勝手に胸キュンすることで気持ちを落ち着かせましたが、
いやーびっくりした。

というわけで今回は、お二人が結ばれるきっかけとなった
舞台の原作小説『嵐が丘』(E・ブロンテ)をご紹介したいと思います。

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実はわたし、この『嵐が丘』が大好きで。
舞台上演時は、「キャサリンとヒースクリフを堀北さんと山本さんが演るなんて!」
と前のめりでチケットをゲットし観に行ってきたんですよ。
ものすっごい熱量の高い素晴らしい舞台でした。
(なのでよけいに衝撃だった)

原作小説は、冒頭に書いたとおり悲恋もの。
ふだん恋愛メインの作品にあまり興味のない私ですが、
これは大好き。もしかしたら一番好きな恋愛小説かもしれません。
と、友人に力説したところ、「……歪んでる」と一言つぶやかれました。
そうなんです。この小説、恋愛小説というにはあまりに激しく、
感情が大暴走してねじくれている。でもだからこそ、面白いのです。

主人公は〈嵐が丘〉の屋敷に住むキャサリンと、
キャサリンの父親があるとき拾って連れ帰ってきた孤児・ヒースクリフ。
実のきょうだいのようにいつも一緒のふたりですが、
なぜか父親から可愛がられる薄汚い孤児に、
キャサリンの兄・ヒンドリーはもちろんご立腹。
父が死に、屋敷の主となったことをきっかけに、
ヒースクリフの立場を貶め、使用人のように扱いはじめます。

そんな状態で仮にヒースクリフと結婚したら、二人そろって物乞いになるしかない。
キャサリンは、ヒースクリフの後ろ盾となるためにも、
近所の金持ちぼっちゃん・エドガーと結婚しようと決めるのですが、
ヒースクリフはキャサリンの想いなど知らずに
「いまヒースクリフと結婚したら、わたし落ちぶれることになるでしょ」
という台詞だけを聞いてどこぞへ出奔してしまいます。

やがて彼は、身分を手に入れ嵐が丘に戻ってくるのですが、
その頃には当然、キャサリンはエドガーと結婚している。
もちろん、だからといってヒースクリフは黙っていません。
ヒンドリーへの恨みつらみ、
エドガーへの怒りと嫉妬、
そしてキャサリンへの愛情とその裏返しの憎しみを募らせねじくれた、
彼の怒涛の復讐劇がスタートするのです。

けっきょくですね。
キャサリンとヒースクリフは魂レベルで
ずーっと惹かれあい求め合ってるわけですよ。

だけどキャサリンは
「落ちぶれたくなんてないしヒースクリフも手放したくない。
あたしがエドガーと結婚して守ってあげればずっと一緒にいられるじゃない。
結婚してあげるんだから、エドガーもあたしの大事なヒースのことは大事にするのよ」
とナチュラルに高慢ちきだし、
ヒースクリフはヒースクリフで、
「どうして俺があんな奴らに虐げられなきゃいけないんだ。
俺に身分さえあれば。畜生、あんなやつら、みんなぎったぎたにしてやる。
キャサリンもキャサリンだ、エドガーなんかにへらへらしやがって、ばーか!」
みたいな、一度受けた怨みは絶対忘れない粘着質な性格だしで、
こじれにこじれまくるわけです。

巻き込まれる人たちがいっそ哀れになるほど。
とっとと二人がくっついてくれていれば誰も不幸にならずに済んだでしょう。
まあ、うっかりヒースに恋してメタメタにされるイザベラも、
わりと人の話を聞かないぶっとんだ娘さんですし、
ヒンドリーはヒンドリーでいろんな事情で自ら荒くれ者になりますし、
主役以外の二人も大概な性格しているんですけどね。
個人的には、エドガーだけは最初から最後までかわいそうでしかたありませんが、
基本的には全編通じて
「みんな、そんなに情熱的に生きていて疲れない?」
と問いたくなるくらい、荒々しい。
同情の余地がある境遇も霞んで見えるくらい、自己愛が激しい。

なんですけどねー。
その、まっすぐな荒々しさに、妙に胸を打たれてしまうんですよ。

「あなたがどんなつらい目にあおうと知ったことじゃない。
あなたの苦しみなんてどうでもいいのよ。
だいたい、どうしてあなたは苦しまないの?
私がこんなに苦しんでいるのに!」

ヒースクリフに向かってそんなことを叫んだキャサリン。
なんて傲慢な台詞!
でも逆に、純粋すぎて美しいような気がしてしまうのは私だけでしょうか。

私がこの小説が好きなのは、どこにも「きれいごと」がないからかもしれません。
好きな人のために自我をおさえて尽くす。
それももちろん、大事でしょう。
だけどキャサリンもヒースも、自己犠牲なんて何それおいしいの?状態。
それでもその恋は、想いは、確かに本物なのです。
“ありのまま”を貫き通すことの凄まじさが、ここには描かれている気がします。

悲恋、だけれども、最後まで想いを貫き通してまっとうした恋。
その二人の熱情を、どうぞ小説で体感してみてください。
そうすれば、
舞台上で見事にキャサリンとヒースクリフを演じきった二人が結婚した、
そのときめきも、少しはおわかりいただけるのではないかな、と思います。

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『嵐が丘』E・ブロンテ/著 鴻巣友季子/訳
新潮社 790円(税別)

※訳者がちがうとまた印象が変わるので、お好みのものをどうぞ。

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About The Author

フリーライター作家橘 もも
講談社X文庫ティーンズハート大賞<佳作>受賞して作家デビュー。

大学卒業後、ダ・ヴィンチ編集部にて雑誌&書籍の編集者として勤務しつつ、作家業を続ける。現在は、フリーでライター・編集業(立花もも)、作家業(橘もも)の二足のわらじ。小説のほかにも、映画やゲームのノベライズ、絵本やノベライズの翻訳などを手掛ける